AKASAKA HOUSE

出会い

一番最初にお会いした時はまだご夫婦お二人で、当時検討されていた土地にどんな建物がどのくらいの予算で建てられるのか。という相談にお越し頂いたのがはじまりでした。それから1年近く経った後に、建築地が決まり、プランのご相談をしたいというお電話を頂き、再会しました。ベビーカーに乗ったお子さんと今度は3人で。

家族ができ住まいを考える。

上質でいて気取らない「人」を感じるあたたかな家を一緒に創りたいなと思わせてくれたお二人の印象が強く残っていたので、人生の節目となる「家づくり」のスタートに、お声がけ頂いた時はとてもうれしく思いました。

プランニング

建築地はいわゆる都心部の狭小地。やや人通りの多い2方向道路に面した東南角地でした。南側目前の敷地には桜の木があり、プライバシーはしっかりと確保しつつも、窓先に季節を感じながら暮らせるように、絵のように縁どられた季節の風景を室内に取り込めるような窓を考えました。

都市型の住宅においても、日常の中で光の角度や強さ、色の変化で季節や時間を感じること。そんな一日一日の瞬間に向き合うことができる空間が、家族が集まる豊かな居場所となるように、リビングは最上階である3階に配置。高さを感じる天井と、陰影によって生まれる静けさに瀟洒な雰囲気が生まれるように、開口部と壁面のバランスを配慮し計画しました。

2階には各寝室と水回りをまとめ、ファミリークローゼットは物干しスペースであるサンルームと直結し、洗濯導線は全て2階で完結。雨を気にせずに洗濯物が干せることも、効率よく家事と向き合える「暮らしやすさ」につながります。書斎はリビング階と離れた1階に設けたことで、生活音との距離が生まれ、同じ建物内でありながらも生活導線が干渉することなく、ワークスペースとしてしっかりと機能させています。

素材と色

内外共にベーシックカラーはグレー。
強すぎない柔らかなトーンでまとめ、クールな空間になりすぎないように、塗り壁のマットでやわらかい質感に木製窓のあたたかな素材感をプラスして心地よく調和するようにしました。モダンでありながらクール過ぎない上品な雰囲気がこの住宅の個性となるように。

キッチンの壁面に採用したタイルは、ダイナワンのショールームへ行った時に見つけ、この住まいに合わせてみたくてご提案したもの。グレーにも馴染む色味で合わせ、シャビ―テイストなガラスモザイクでシックな空間に遊び感覚で変化をつけています。

STREET GARDEN

法的な厳しい制限をクリアしたボリュームの中で、ボックスを組み合わせたようなスクエアな形状に外観を整える。そこに慎ましく配置された木製窓が壁面のスケール感をさらに醸し出しています。そこがキャンバスとなって四季折々の姿を映すように、STREET GARDENをデザインしました。街並みを象徴するように、通りゆく人々の目に移り、心に止まる佇まいを目指して。

コンクリートでふさいでしまえば手入れをせずに済ますこともできます。それでも地に根を下ろして成長していく緑や草花が四季の息吹を道行く人に伝え、自生する力強い姿や美しい自然の色に心が通う瞬間が街並みの中に生まれていってほしいなという願いも込めて。

ご新居を訪ねて

収納スペースが必要以上に多いわけでもなく、必要な場所に必要なサイズ感の収納をしっかりと計画できたことで、空間に余白が生まれ、気持ちよくすっきりと暮らされていました。

家づくりが始まった頃は生まれて間もなかった娘さんも、テレビボードに飾ってあるフォトフレームを手にとって、写真に写る自分を指さして誇らしげに見せてくれたり、ご家族の団らんの様子にも触れられて幸せな時間でした。

撮影に伺ったのは1月初旬の午前中で、ちょうど冬のあたたかな太陽光が室内の奥まで差し込んでいて、庭にはツワブキの黄色い花が冬の寒さを和らげるようにさりげなく咲いている頃。

時間のサイクルを自然の姿と共に感じながら、おおらかな気持ちで成長を楽しみ、豊かな暮らしが続いていってほしいと願っています。

これからも、どうぞよろしくお願いします。

施工・管理

株式会社 東京組

家族構成 ご夫婦
お子様1人
敷地面積 56.18㎡(16.99坪)
延床面積 107.85㎡(32.62坪)
工法・構造 木造軸組工法
竣工年月日 2023年9月
所在地 東京都港区
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