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対話から生まれた、気配を感じる家

出会い

「はじまりと呼吸」

最初の出会いは、SNSの小さな発信からでした。
そこに映っていたのは「素材への眼差し」「光や緑への感覚」「暮らしそのものを大切にする丁寧さ」
想いや姿勢だけで発信していたMateniを信じて、最初の一歩を託してくださいました。
暮らしのクオリティを高める住まいづくりを探していたご夫妻は
光の入り方や緑の揺らぎ、素材に添えられた言葉。その断片を見て「この人たちなら、私たちの感覚を分かってくれる」と直感したとのことでした。
「Mateniさん」
初めてそう呼ばれたとき、代表の渡部はふしぎな安心を覚えたと語ります。肩書きでも職能でもなく、ひとつの人格として「Mateni」がそこに立ち上がったような感覚。
この呼びかけは、Mateniのはじまりそのものでした。

対話

「家族の距離を描く時間」

家づくりのテーマとなる話に「家族の気配を感じながら過ごしたい」というご夫妻の願いがありました。
最初の打ち合わせでその願いに至る文脈を対話で紡ぎました。
「広さよりも、家族がつながり、気配を感じることが大切なんです」
その想いが、この住まいのすべての設計を決定づける軸になりました。
吹き抜けで3フロアを緩やかにつなぎ、キッチンを中心としたリビングには家族が自然と集まる。
声をかければ、上階から子どもたちの返事がすぐに返ってくる距離感。
70㎡の細長い土地という制約の中で、大胆に「つながり」を形にした家です。
奥様は「ふわっと感覚をすり合わせながら進む時間が心地よかった」と話します。
一方でご主人様は、これまでの価値観から「もう少し効率的でもいいかもしれない」と感じる場面もありました。
それでも、おふたりが大切にしたのは、渡部さんの対話に対するポリシーを尊重することでした。
対話を重ね、納得し、言葉にならない想いを形に変えていくプロセスそのものが、家づくりの醍醐味でした。

計画

「限られた土地に描いた自由」

玄関とつながる大きなクローゼット。
階段を上がれば、一気に視界が広がり、アイランドキッチンとテラスが迎えてくれます。
3階には、寝台列車のようにカーテンで仕切られた子ども部屋。
広さに制限があるからこそ、空間の“つながり”を最優先にした大胆なレイアウトです。
家族それぞれが別の場所で過ごしていても、ふとした瞬間に気配を感じ合える住まいとなり
すべての空間において家族の温い空気感の中で心休まる時間を過ごすことができます。
限られた土地と空間は心の矢印を”家で過ごす”コト”へ向ける仕掛けとなり
家族の気配や空間にある小さな喜びを繊細に感じ取ることができるきっかけとなりました。

完成と暮らし

「記憶を重ねる場所」

お引き渡しからしばらく経ち、ご夫妻が家に招いてくださった日。
奥様は「ものづくりについて語り合えることが幸せです」と話してくださいました。
テラスに出て朝日を感じ、グリーンの芽吹きを眺めながら、四季の変化を感じる。
「設計のときに話をしていた暮らしそのもので、改めて感謝しています」と、ご主人は静かに語ります。
家の中で聞こえる「お弁当いる?」というお母さんの声。
お弁当を作るお母さんの近くで食べるご飯の安心感。
様々な空間の要素に繋がりがあるので、自然と家族のコミュニケーションが増えた。
そんな他愛も無い声、小さな習慣のどれもが、この家で重ねていく記憶のかけらです。
それらすべてが、ここに住まう家族の記憶になり、暮らしの価値を深めていきます。
ご家族のみなさんにとって家とはどんな場所でしょうか。
暮らしの中で重ねた記憶についてまた語り合えると幸せです。

これから

「Mateniの心に残ったこと」

「Mateni house」という言葉を奥様からいただいた時、Mateniが単なる屋号ではなく、誰かの暮らしの中で息づく存在になれたのだと実感しました。
さらに、ご主人様から設計契約時にかけていただいた言葉も深く心に残っています。
「Mateniさんにとって、新たな挑戦になりますね」
その言葉は穏やかで、しかし迷いのない響きがあり、共に進もうとしてくださる決意をお示しいただきました。
Mateniとして胸が熱くなるのを感じました。
“対話を重ね、暮らしを共に育てる”その価値を受け止めてくださったご夫妻との時間は、今もブランドの中核を支えています。
対話から生まれたこの家は、光と風、記憶と時間、そして家族の気配を抱きしめながら、これからも変化し成長を続けて住まう人の記憶を重ねていくでしょう。

文・koki ogawa

家族構成 ご夫婦
お子様3人
犬1匹
敷地面積 70.99 ㎡(21.47坪)
延床面積 118.4㎡(35.82坪)
工法・構造 木造軸組構法
竣工年月日 2024年12月
所在地 東京都目黒区
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