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光と感性が紡いだ、都市に咲く住まい

出会い

「窓越しの言葉に導かれて」

ある日、MateniのSNSにふと目を留めてくださったご夫妻。
暮らしの断片や住まいにまつわる思索に共鳴してくださったことがきっかけで、一本の電話をいただきました。
やがて、過去の施工事例「陽だまりのコートハウス」をご案内する日を迎え、初めてお会いしたその場はご夫妻が大切にされている感覚や、日々の中で育まれてきた価値観に触れる時間となりました。
言葉を重ねなくても感じる心地よい空気感。間に流れる空気と光が、ご夫妻の感性と響き合うのを感じたひととき。
この出会いが、家づくりの軸となる“対話の始まり”でした。

対話

「望む暮らしのかたち」

奥様が大切にしているのは、「ナチュラルで丁寧な生き方」。
なかでも“食”を暮らしの中心に据えたいという願いがありました。
家庭内での食育や、大人も子どもも参加できる料理教室など、未来への広がりを含んだ構想。
その価値観は、間取りや収納計画だけでなく、家全体の在り方や人の生き方につながるところまで影響を与えていきました。
中心にはいつも食があり、キッチンを囲む家族の姿は実にナチュラルで視覚的に安心感が伝わる温かい家庭がそこにはありました。

計画

「暮らしを育む余白と光」

当時は都心のマンションにお住まいだったご家族。
お子さまの成長にともない、収納の不足や、それぞれの居場所の必要性を感じるようになったそうです。
ご主人様のリモートワークや奥様の事業など、もちろん子どもたちの成長も人が生きる上で自然と起こる変化の一節です。
暮らしの中の要素が変化し増えていく中、マンションという器では叶えきれない「これからの暮らし」が見えてきた。
そうして、理想の住まいを一から描くために、注文住宅という選択に踏み出されMateniで対話をはじめました。

空間

「居場所と、ひとつの風景」

これまでの空気感や対話から「それぞれが自分に戻れる場所」と「家族の風景としての一体感」
キッチンに立つ奥様を支えるご主人様の姿や子供の成長について語らうダイニングは日々を育む家族の時間。
誰かを思いやる暮らしの中にこそ、個が尊重される設計が必要でした。
照明計画では、ダウンライトを最小限に抑え、ペンダントやブラケットライトを効果的に配置しました。
明暗のグラデーションが、空間に奥行と陰影をもたらします。
光をどう灯すかを楽しみながら選んでくださったのは奥様。
ひとつひとつの灯りが、日々の営みに寄り添うように設えられました。

光と外と

「都市に咲く、空とのつながり」

敷地の読み解きからプランニングで大切にしたのは、3階建てが密集する都心の立地において、いかに“空”とつながれるかでした。
それは設計におけるひとつの挑戦でもありました。
最上階のリビングには、南に抜けるハイサイドライト、北に大きな木製窓とテラス
周囲の喧騒を忘れさせるような、穏やかな光と風が通り抜けます。
言葉では語られなくとも、住まいが完成したときに「空とつながっている」と感動されたお姿が今でも印象に残っています。
きっとそれは、ご夫妻の感性に、自然と呼応する設計が届いた瞬間であり、人が自然とつながる生き物であることを再確認した瞬間でもありました。

暮らし

「記憶を育てる場所」

ご新居を訪れた日、大きな木製窓の先のテラスには、ハーブの香りとやわらかな光が満ちていました。
椅子を出し、風を感じながら過ごす時間。
日常に溶け込む小さな豊かさが、家族の時間をやさしく包んでいます。
キッチン横にはスタディスペースを。
お子さまたちの学びの場を、奥様のまなざしがやわらかく見守ります。
ロフトへとつながるタラップは、冒険心をくすぐる遊びの空間となり、また別の時間では食を通じて会話と笑顔が生まれる。
それらが家族の記憶として、静かに、やさしく蓄積されていきます。
そんな暮らしが、この住まいには息づいていました。

これから

「"完成"は、日常の中にある」

図面に描かれた線が、暮らしによって色づき、動き、息づいていく。
家づくりとは、建物の完成から先にある日常によって、育てられて真の完成へ繋がるものなのだと、あらためて感じさせていただきました。
この住まいで紡がれていく記憶と、これからの対話にそっと寄り添っていけたなら、住まいの完成まで伴走できる喜びの想いが浮かびます。
その願いとともに、また新たな季節を楽しみにしています。

文・koki ogawa

家族構成 ご夫婦
お子様2人(小学生)
敷地面積 65.64㎡(19.85坪)
延床面積 122.61㎡(37.98坪)
駐車場・ロフト含む
工法・構造 木造在来工法3階建て
竣工年月 2023年3月
所在地 東京都豊島区
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